米国 Autodesk 社(本社:米国カリフォルニア州/プレジデント 兼 CEO:アンドリュー・アナグノスト、以下、Autodesk)は、米国オレゴン州のポートランド国際空港(PDX)で進められているターミナル・コア再開発プロジェクト(Terminal Core Redevelopment Project:TCORE)において、Autodesk のソリューションを活用したデジタルでつながるワークフローが、複雑な設計・施工の連携や大規模なマスティンバー(大断面集成材)屋根の建設、エンボディドカーボンの削減などに貢献した事例を発表しました。

PDX は以前から、木材や植物、自然光などをデザインに取り入れ、その土地や自然とのつながりを大切にする空港として知られています。画像提供:Ema Peter

ポートランド港湾局(Port of Portland)が進める「PDX Next」プログラムの一環であるTCORE は、空港を全面的に稼働させたまま、米国太平洋岸北西部でも有数の利用者数を誇る空港を大きく変革するプロジェクトです。Skanska(スカンスカ)とHoffman Construction(ホフマン・コンストラクション)のジョイントベンチャーが施工を主導し、ZGF Architects(ZGF アーキテクツ)が設計を担当しています。プロジェクトでは旅客収容能力を 2 倍に拡大するとともに、これからの空港体験のあり方を再定義しています。

新しく生まれ変わったターミナルでは、自然光が降り注ぐ開放的な空間の頭上に、大規模なマスティンバーの屋根が広がります。この空間の実現を支えたのが、高度に連携されたプロジェクトチームとデジタルでつながるワークフローです。

プロジェクトの大部分が完成した現在、PDX は、クラウドベースのコラボレーションによって複雑なインフラプロジェクトの建設手法がどのように変わりつつあるのかを示す事例となっています。

PDX は再開発以前から、木材や植物、自然光をデザインに取り入れ、その土地や自然とのつながりを大切にする空港として知られてきました。空港の拡張にあたっては、そうした PDX らしさを維持しながら成長を実現すると同時に、数十年にわたって整備されてきた既存インフラとの調整が必要でした。

プロジェクトチームは  Autodesk Revit®を活用して、既存ターミナルと将来の設計の双方を詳細にモデル化し、意思決定のためのデジタル基盤を構築しました。さらに  Autodesk ReCap Pro®を使用してリアリティキャプチャデータをモデルに取り込むことで、現実の状況を可視化し、新たな建設部分を既存施設にどのように組み込むかを、チームがより正確に把握できるようにしました。

こうした可視化は、プロジェクトの初期段階で特に重要な役割を果たしました。モデルをステークホルダーに提示することで、複雑な現場状況をより直感的に伝えられるようになり、ポートランド港湾局やプロジェクトパートナーとの認識の共有と信頼関係の構築につながりました。

プロジェクトが施工段階へ移行すると、大きな課題となったのが、多数の関係者間の調整です。空港を利用者に開放した状態を維持しながら、プロジェクトに関わる数百社が足並みをそろえて作業を進める必要がありました。

そこで Autodesk Forma®が、各チームがリアルタイムに情報へアクセスし、更新できるクラウドベースの共通環境を提供しました。建築家、エンジニア、施工会社、発注者がそれぞれ分断されたファイルを使うのではなく、単一の情報源を共有しながら協働することで、プロジェクト全体の可視性が向上。干渉をより早期に発見し、設計意図を検証するとともに、各チームが常に最新のデータへアクセスできる環境を実現しました。

Skanska シニア・バイスプレジデント兼アカウントマネージャーのジョー・シュナイダー氏は、次のように述べています。

「つながった環境で作業することで、すべてのチームが、自分たちの意思決定がプロジェクト全体にどのような影響を及ぼすのかを把握できるようになりました。認識を合わせ、問題により早く対処し、はるかに高い透明性と連携性をもってプロジェクトを前進させることができました」

共通のデジタル基盤が特に重要な役割を果たしたのが、このプロジェクトでも最も複雑な要素のひとつである大規模なマスティンバー屋根です。約 9 エーカー(約 3 万 6,000 平方メートル)に及ぶ屋根を支える柱は、わずか 34 本。その施工には、建設というよりも製造業に近いレベルの精密さが求められました。

プロジェクトチームは詳細なモデルを使用し、屋根モジュールのプレファブリケーションから、飛行場を横断しての輸送、さらに所定の位置への吊り上げまで、施工プロセスのあらゆる工程を事前に計画しました。

こうしたシミュレーションによって、施工開始よりも前の段階で、作業手順や物流についてチーム間の認識を合わせることができました。また、空港運営担当者、航空管制官、米連邦航空局(FAA)を含むステークホルダーに対しても、施工計画をより分かりやすく伝えることが可能になりました。

同じモデルは、サステナビリティに関する成果の把握にも活用されました。Arup(アラップ)のチームは Revit モデルを分析し、ファサード、屋根、構造に使用される材料を定量化しました。これにより、曲線状の木製梁や枝分かれする鉄骨柱といった複雑な部材についても、使用材料を正確に計測することができました。

さらに、既存部分と新設部分を区別できるようモデルを整理したことで、新設する 2階部分では エンボディドカーボンを 22%削減、既存の 1 階部分を再利用する効果まで含めると、66%削減できることを実証しました。

すべてのチームが同じ共有データ環境を利用していたため、プロジェクトが進展する中でも計画の整合性と最新性を維持することができました。その結果、リスクを低減し、空港運営への影響を最小限に抑えながら、大規模なプロジェクトを確実に遂行することにつながりました。

複数年にわたる再開発プロジェクトが最終段階の完成に近づく中、こうした「つながる」アプローチがもたらした効果は明確になっています。

利用者にとって自然で快適に感じられる空港体験の裏側には、共有されたデジタル基盤上でチームが連携することによって実現した、何千もの調整と意思決定があります。

PDX の事例は、テクノロジーによって設計と施工をより緊密につなぐことで、プロジェクトチームがより迅速に作業を進め、リスクを低減し、より高い確信を持ってプロジェクトを遂行できることを示しています。

約 9 エーカー(約 3 万 6,000 平方メートル)の広さをわずか 34 本の柱で支えるマスティンバー屋根。その施工には、プロジェクトチーム間の緊密な連携が不可欠でした。

 ※ 本記事は、米国 Autodesk 社が、2026 年 6 月 25 日(現地時間)に発表したニュースブログ記事を抄訳、再構成したものです。  Autodesk, Inc. /オートデスクについて 1982 年に設立した Autodesk は、米国カリフォルニア州サンフランシスコに本社を構え、現在世界約 40 カ国・地域で事業を展開している「デザインと創造」のプラットフォームカンパニーです。サステナブルな建築物から次世代自動車、デジタルファクトリー、最先端技術を駆使した映画やゲームにいたるまで、ありとあらゆるモノづくりのデザインと創造をテクノロジーの力でサポートしています。建設、製造、メディア & エンターテインメント業界における業務の効率化・自動化を促進する業界に特化したソリューションを搭載したインダストリークラウドを提供するほか、部門間のみならず業界全体の連携を実現し、業務プロセスを横断的にサポートする「デザインと創造のプラットフォーム」を展開し、より良い未来を築くべく、新たな可能性に挑戦するすべてのイノベーターを支援しています。詳細については、https://www.autodesk.com/jp をご覧になるか、Autodesk のソーシャルメディアをフォローしてください。 #MakeAnything

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